【How to 音色コピー】TMN “CAROL(CAROL’S THEMEⅡ)”のTak音色コピーにチャレンジ!

How to 音色コピー
この記事は約11分で読めます。
スポンサーリンク

                  【How to 音色コピー】TMN "CAROL(CAROL'S THEMEⅡ)"のTak音色コピーにチャレンジ!       

  


【How to 音色コピー】TMN "CAROL(CAROL'S THEMEⅡ)"のTak音色コピーにチャレンジ!

こんばんは、ひいろです。
前回は、Tak(B’z 松本孝弘)氏のギターだけ、もしくは聞こえやすい音源をピックアップしてご紹介しました。
【How to 音色コピー】Tak(B’z 松本孝弘)氏のギターだけの音源ピックアップ

そこで今回は、Tak氏のROCKMANの音色(TMN時)を、同じ機材を揃えずにコピーする手法を紹介します。

本記事紹介のプリセットは、下記よりダウンロード可能です。(2020/4/25 追記)
B’z メイン歪 (Axe-FxⅡ)プリセット

(画像等は準備でき次第、順次追加していきます)

    【目次】

  1. 本記事の背景、目的
  2. 目標、達成条件
  3. チャレンジ環境、プロセス説明
  4. チャレンジ結果(音源、画像)
  5. 今回のまとめ、次回について

本記事の背景、目的

準備中

【Takトーン実現に向けて】

・以前似たような事を記載しましたが、使用機材を知るのが目的ではなく、「ライブで如何にTakトーンを実現するか」というアプローチを本ブログでは目指しています。そこで、これからの音色コピーにあたり「どうすれば、(Tak氏と同じ機材を揃えるのではなく)ライブハウスによくある機材や、市販機材でTakトーンを実現していけるか」という点を確認します。

【同じ機材を揃えずに、音色コピー】

・Tak氏の使用機材をまとめてきましたが、改めて"同じ機材ではなく、全く違う機材で"音色コピーにチャレンジします。ここでメインで使用するのは、イコライザー(EQ)です。

【How to 音色コピー】イコライザーの使い方、人の聞こえ方、各帯域の特徴に記載の通り、「イコライザーさえあれば、音色はどうとでも調整できる」という主張を検証していきます。

目標、達成条件

【目標】

・上記や 当初から記載の通り、「ライブで如何にTakトーンを実現するか」です。その上で、今回はTak氏がサポートとして参加していたTM NETWORKから、"CAROL (Carol’s Theme Ⅱ)"時の、Takのバッキングトーンのコピーを目標にチャレンジします。

・CAROLを今回の目標に設定した理由は下記3点です。

1. 目標分析のしやすさ
前回記事に記載の通り、正確な分析には、他の楽器と混じっていないTak氏だけの音源が必要です。下記動画の通り、その要件に最適だったのがCAROLを選んだ最大の理由です。更に、恐らくミックス処理後のギターを単独で聞ける稀有なケースです。
・B'z 松本孝弘とマーティ・フリードマンのTM NETWORK CAROLのギタープレイの違い

※Tak氏の演奏は0:56 ~ 1:33あたり

2. 再現の難しいROCKMANにチャレンジしたかった
・B’z / Tak氏に限らずROCKMANを使用されているプレイヤーは多いですが、「ROCKAMANの音色は、ROCKMANでしか出せない」とよく言われます。確かに非常に特徴的で、以前チャレンジした際は全く歯が立たなかったです。しかし、機材や技術力の上がった今、逆にROCKMANの再現 / コピーさえなんとかなってしまえば、他の音色の再現もなんとかなると考え、最初にチャレンジすることにしました。
・ただし、ROCKMANそのものの再現というよりは、『Tak氏のROCKMAN』の再現に近くなります。通常(単独)のROCKMANとの違いは、歪やハイが強い点です。逆にROCKMANをそのまま使っても、音色的にはTak氏の音とは結構違います。理由としては、プリアンプよりもその後のパワーアンプ、特にスピーカーキャビネット及び録音マイクの影響が大きいためです。もし実機のROCKMANを使って似せる場合は、イコライザー等で更に高域を上げることが必須です(ギターテックのHAKKAIさんもインタビューでそう答えられています)。

残念ながら「IN THEME LIFE」のレコーディングには参加していなかったので細かいセッティングは知らないが、当時のサウンドはすべて「ROCKMAN XPR」と「VHT 2150」で作られていた。(中略)とりあえずMIDIレンジは十分あるのでとりあえず高音域を強調することが多く、それでも今ひとつだったので「VHT 2150」のプレゼンスをかなり上げた事を覚えている。
(出典:『House Of Strings volume 01』 2004年 11月)

3. 需要の多さ

・B’z / Tak機材記事の中でも、1995年『Pleasure'95 "BUZZ"』を筆頭に、ROCKMAN時代が、本ブログへのキーワード検索と閲覧数共に人気です。やはり皆さんもROCKMANの音色に憧れ、再現したいものと感じました。そこで、先ずはROCKMANを再現可能な道筋をお見せできれば、お役に立てると考えました。

【達成条件】

・達成条件は下記3点に設定しました。

1. 「っぽい」音色
・ブログタイトル通り「B’z / Takっぽい」音色を出せることが達成条件として必要不可欠と考えます(笑) その名の通り、完璧な再現は目指してません。完璧な再現は同じ機材を揃えられたとしてもかなり難しいです。
・趣味の範囲とし、「っぽさ」の定義は、ギターに詳しくない人が聞いて「同じ」と感じる、ギタリストが聞いて「まぁ、結構似てるな」と言えるレベルとします。

2. ライブで再現
当初から記載の通り、ライブでの再現を重視しているため、ライブハウスでよく使われている SHURE "SM57"での収音を前提条件とし、その時点での音色再現を条件とします。つまり、SM57の特性で収音した音色でモニターします。当時使用されたいたマイクは不明ですが、ライブで = SHURE SM57での再現ができれば、ライブで再現できるものとし、ここを目指します(PAによるミックスは考慮外とします)。
・SHURE "SM57"の周波数レスポンス
SHURE SM57
耳で聞いている音色と、マイク収音の音色はかなり異なります
【比較】マイク SM57、E906、Galaxy Note8、HDR-MV1

3. 費用が掛からない、手軽
「っぽい」音色の再現に、時間や費用を掛ければ何とかなるかもしれません。しかし、それでは本末転倒(本人と同じ機材を揃えた方が良い)になります。やはり「費用が掛からない、手軽」は大事な要素と考えます。よって、
・「費用が掛からない」として、1種の機材 = イコライザーのみでの対応
・「手軽」として、1日1時間 x 30日間(= 1ヶ月)の範囲掛ければ出来るという観点で、EQ加工は合計30時間以内
を条件とします。

チャレンジ環境、プロセス説明

【チャレンジ環境】

・チャレンジ環境は、今までと変わらず下記画像の通りです。
再現環境システム

【チャレンジプロセス】

・今回用に多少改変してますが、チャレンジプロセスはいわゆる「PDCA、OODAループ」に則って取り組みます。
1. Observe:相手 = 目標の情報収集
2. Orient :現状把握、目標との差異分析、方向付け
3. Decide :計画、意思決定
4. Act  :実行
※OODAPループとはデータの時間『《図解》 PDCAとの違いは?現場に強いビジネスメソッド「OODA(ウーダ)ループ」とは?』
要するに「きっちりと準備(目標及び現状を分析)してから、行動に移す」ということです(僕もこれを怠る事で、何度痛い目に遭ったかわかりません…)。

1. Observe:相手 = 目標の情報収集
・先ずは、Tak氏の演奏部分のみをスペクトラム分析します(分析の手法については、こちらで紹介)。
ROCKMAN 概要分析
先ずは全体傾向を把握するべく、ざっくりと「低域、中域、高域」のピークを見ると、特徴的な点は下記のようです(画像赤線)。
低域:170Hz
中域:600Hz
高域:3.2kHz
谷  :1.2KHzあたり

・聞いてみると、とてもROCKMANらしい音色です。やはり歪と高域は強めに聞こえますが、波形的には低域(170Hz)と中域(600Hz)が全体のピークを担っています。また、およそ6kHz辺りから殆ど出ていないのも、いわゆる"鼻詰まりサウンド"の特徴となっているのではないでしょうか。

・次に詳細ポイントの分析に入りますが、改めて確認するとポイントが多く、かなり複雑な波形に見えます(画像赤丸、緑丸)。
ROCKMAN 詳細分析
低域:170Hz、330Hz
中域:600Hz、720Hz、1.4kHz、1.8kHz
高域:2.1kHz、3.2kHz、4.1kHz
谷  :250Hz、410Hz、690Hz、1.2KHzあたり、1.9kHz、2.5kHz、3.9kHz、6kHz以降

これらの帯域を、図のようなバランスで出せればTakっぽい音色になるのでしょう。しかし、この複雑な波形がROCKMAN以外では中々出せず「再現不可能」と言われていたのだと思われます。

2. Orient :現状把握、目標との差異分析、方向付け
・現状分析として、同じように弾いた際の波形を掲載します。1年程前の当時なりに聞こえ方に沿ってEQで似せたつもりでしたが、こう見ると全然似ていないですね…。似せる努力を本当にしたか、かなり怪しいです(笑)
自分の現状
・元の音色は、Axe-Fx IIのアンプブロックから、ROCKMANに一番近いと思われるアンプタイプから作りました(Axe-Fx IIにROCKMANのシミュレーターは無し)。

・やはり、目標の正確な情報を得られずにチャレンジしても、なかなか似せるのは難しいと改めて実感しました。

3. Decide:計画、意思決定
上記の差を埋めるには、どこをどの程度調整するか。ここでイコライザーの出番ですが、調整すべき箇所や幅が様々なためグラフィックイコライザー(GEQ)では不可能と判断し、パラメトリックイコライザー(PEQ)による調整を計画しました。
各帯域の特徴はこちら
特に低域(170Hz)、中域の特徴(600Hz及び720Hzの出方、1.2kHzの谷)、高域(3.2kHz)が念入りに取り組むべきポイントと考えます。

4. Act:実行
・上記計画を実行し、聞いて再修正を何度か繰り返します。結果的には下記のように、12バンド(帯域)調整を行いました。
 100Hz…Q0.5、-3.0dB
 160Hz…Q3.0、+1.0dB
 350Hz…Q7.0、+1.0dB
 432Hz…Q4.4、-7.0dB
 600Hz…Q4.0、+12.0dB
 994Hz…Q3.0、-3.0dB
1168Hz…Q10.0、-5.0dB
1200Hz…Q0.3、-3.0dB
1860Hz…Q10.0、+8.0dB
2230Hz…Q2.0、-5.0dB
3200Hz…Q2.0、+4.5dB
4200Hz…Q7.0、+3.8dB
・100hzのみシェルビング、他は全てピーキングで調整しました。
・Qとは…PEQにおいて、イコライザーの増減の影響範囲を指定する値のことです。Q値が大きいほど影響幅が狭い = ピンポイントに影響します。逆にQ値を小さくすると、指定した帯域を中心として広い範囲に影響を及ぼします。上記で言えば、1168Hzはピンポイントで5.0dBカット、1200Hzは広い範囲に対して3.0dBカットしています。
イコライザーについての詳細はこちら:島村楽器 Digiland『イコライザー 、フィルター とは?【今さら聞けない用語シリーズ】』

本記事紹介のプリセットは、下記よりダウンロード可能です。(2020/4/25 追記)
B’z メイン歪 (Axe-FxⅡ)プリセット

【留意事項】
・記載の周波数は目安です。
・サンプルとして録音及び波形分析する場所によって波形も変わるので、参考程度にしてください(同じ音色でも、コード / ソロ / ブリッジミュートでかなり変わります)。そのため、弾くポジションも音源と同じにして極力変動要素を減らせるとベターです。
・今回は未検証ですが、この全体傾向に似せるだけでも、雰囲気は近付くと思われます。
・音色の確認は、ずっと聞いていると耳が慣れてしまい良く聞こてしまうため、1日置いて聞いた方がベターです。です。また、お酒も飲むと聞こえ方変わるので、音色作りの最中は飲酒しない方がベターです。

チャレンジ結果(音源、画像)

・上記取り組み結果を音源にしました。

【音源動画】

準備中

【動画構成】

0:00 ~ …Tak(松本孝弘)氏演奏
0:09 ~ …イコライザー(EQ)調整後
0:17 ~ …イコライザー(EQ)調整前
0:25 ~ …ROCKMAN SUSTAINOR使用

【補足】
・ノーマライズ(音量正規化)はしておりますが、音量にはご注意ください。
・参考までに、ROCKMANをプリアンプにした場合の音も録音しました。高域は出せるだけ出し、ノッチ(谷)フィルターも、分析の通り1.2kHz辺りに設定しました。
 />ROCKMAN SUSTAINOR</p>
<h3><span id=【波形画像】

Tak(松本孝弘)氏演奏
Tak(松本孝弘)氏演奏
イコライザー(EQ)調整後
イコライザー(EQ)調整後
イコライザー(EQ)調整前
イコライザー(EQ)調整前
ROCKMAN SUSTAINOR使用
ROCKMAN SUSTAINOR

今回のまとめ、次回について

【総じて】

・達成条件3点を下記の通り満たしたため、ブログタイトル通り「『~っぽい音色』の再現は、同じ機材を揃えなくとも可能」と実証できたと考えています。

 1. 「っぽい」音色:判定難しいのですが、波形的にも、実際に聞いても、「っぽく」似せられたと自負しています。
 2. ライブで再現:(Marshall "1960A →)"SHURE "SM57"の構成にて上記を達成したため、基本的にはライブでのこの音色を再現可能です。
 3. 費用が掛からない、手軽:今回の作業時間は、合計で10時間(2時間/日 x 5日)程度でした。もちろん、元の音色と目標が全然似ていない場合はもう少し時間掛かると思われますが、音色を1つ似せるのに掛ける時間は30時間 = 1ヶ月以内で済みそうと考えられます。また、今回使用したのはPEQのみですので、費用的にも追加は全く掛かっていません(PEQない場合は、マルチエフェクター内のPEQを活用すると安上がりです)。

・改めて、正確な目標サンプルの入手&解析、及び現状把握が非常に重要だと実感しました。目標を正確に分析していない場合は、時間をどれだけ掛けても試行錯誤を繰り返すだけでしたが、正確な情報を入手した場合は、今回のように比較的短時間で再現可能です。このため、前回記事でギターだけの音源をピックアップしました。

・今回は正確な情報分析可能なCAROLの音色コピーをしましたが、1995年『Pleasure'95 "BUZZ"』機材構成に近いため、ここからチューニングすれば恐らくコピー可能と考えます。

・逆に言えば、全く同じ音色再現はやはり非常に困難そうです。PEQで帯域をかなり調整しないといけないため、相当時間が掛かることが見込まれます。傾向と特徴を真似するあたりが現実的かと考えます。

・また、音色をMarshall "1960A"から直接聞くと、距離を離してもやはりマイルド(低音多め)に聞こえます。やはりSHURE "SM57"で収音すると、高音が出る傾向にあるようです。この点から、SM57が音色を尖らせる点を考慮に入れて音色を作ると、ライブハウスでも再現しやくなるのではと考察できます。

・補足として、Axe-Fxにはトーンマッチングという機能があり、試しましたがハイが強すぎて目標に合わなかったです。

【次回について】

・年代毎の音色分析、Axe-Fxと他社高機能機材との特徴比較、B’z / Takの機材情報、等を考えています。


ご覧頂きありがとうございました。

ではまた。

ひいろ

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました